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今が二千何年だろうが

あっという間に消えた二千円札。記念にとっとくつもりが何かの折に使ってしまい、現在手元には存在せず。新千円札・五千円札とは異なり、二千円札は最近ほとんど見かけなくなりました。どんなデザインだったか忘れた人も多いのでは? 日本銀行のサイトの真ん中より少し下、(1999年収録分)の「二千円券のラフデザイン」というところで見ることができます。今となっては懐かしい代物。たった5年前の物なのに・・・

表は沖縄の守礼門ですね。そういえば沖縄サミットがあったなぁ。裏は『源氏物語絵巻』の絵が大半を占め、『紫式部日記絵巻』にある紫式部の肖像画?が右下に小さく載っています。『源氏物語』が書かれたのは約千年前の平安中期、11世紀初頭ですが、『~絵巻』が描かれたのは平安後期です。何種類も現存する中で特に有名なのが12世紀前半に制作されたと見られる彩色絵巻で、徳川美術館五島美術館に分蔵されています。徳川美術館のサイトでは常設展示室の第6展示室で、五島美術館のサイトではコレクションのところで『源氏物語絵巻』の情報を得ることができます。実は今回初めて両美術館のサイトに行ったんですが・・・美しい。至宝の数々に思わず見とれてしまいました(笑)

二千円札の裏に描かれているのは『~絵巻』第38帖の「鈴虫」なので、五島美術館の方に収蔵されています。この絵柄は見たことがあるけど、どんな場面を描いたものなのか知らないという人もいるはず。
ここからは長---い余談 (以下は飛ばし読みがオススメ)
ここで少し『源氏物語』のストーリーについて簡単に触れます。光源氏がありとあらゆる女性に手をつける話というイメージが強いですが、愛欲に振り回されて身の破滅を招く人間の悲しさ、業の深さを描いた作品です。当時は仏教の末法思想が流行し、『源氏物語』もその影響を多分に受けています。宮廷の女性から見た当時の政治の世界を描いた作品として読むこともできます。

光源氏が関係を持った女性は実に多く、様々です。年上女房赤鼻未亡人友人の元妻政敵の娘義理の母地方妻人妻老女少女etc. 男女ともに多くの異なった相手と契りを結ぶのが当時の風習だったとはいえ、これはあまりにも・・・ウラヤマシイ ただ、交際相手は豊富だったものの、子供の数となると案外少なくたった三人です。けれどこの三人には表裏があります。

まず表、つまり世間一般から光源氏の子供とみなされている三人。正妻葵上との間にできた夕霧明石の上が生んだ明石の中宮、そして女三宮との間に生まれた(と世間が思っている)

続いて裏、こちらは光源氏の実の子である三人です。夕霧と明石の中宮はこちらにも当てはまります。が、三人目は義理の母藤壺との間に生まれた冷泉天皇です。

余談やっと終了
二千円札の裏の絵の話に戻ります。この「鈴虫」という絵、実は光源氏と冷泉院が対面する場面なのです。冷泉院は自分の実の父親が光源氏であることを知っています。そのことを会話の内容から読み取った源氏は動揺します。禁断の愛から生まれた子供であるため、我が子でありながらそれと口に出していえない辛さ。源氏と藤壺、そして冷泉院。三人だけが知っている血も凍るような秘密。親子の対面でありながら、源氏物語中で最も緊迫した場面だと言えます。

・・・問題は、このようないわくつきの場面の絵が
 なぜ二千円札の図案として選ばれたのか、ということ。


はっ、もしや二千円札が急に消えていったのは、こーゆーヤバイ絵を使用していたからなのかっ!?(-へ-; (んなわきゃない)

まじめぶった口調でこんな話を書いてる俺は、自分でもヘンな奴だと思う。齢23にもなれば修正できないしなー。まっ、いいや。『源氏物語』を食わず嫌いのままにしている人はモッタイナイですよ。さすがに原文で読むのはヘビーなので、現代語訳かマンガがオススメ。与謝野晶子・谷崎潤一郎・円地文子など著名な作家による現代語訳が色々ありますが、個人的には田辺聖子さんの訳が読みやすくていいと思います。瀬戸内寂聴さんの訳もありますが・・・それはまぁおいといて

マンガならなんといっても、大和 和紀さんが描いた「あさきゆめみし」ですね。他の人によるマンガも読んだけど、絵がよくない。「あさきゆめみし」は若紫がかわいくて良い! いや、そうじゃなくて・・・。でも絵柄から入るのってアリだと思う。とにかく一歩でも近づくことが大事だし。連載当時、このマンガを読んで国文科を志した女性が多いという話はおそらく本当でしょう。それほど影響力が大きく、今でもたいへん人気があります。

・・・小さい字の長い文章につきあわせてごめんなさい。もっと短くまとめなきゃ(-ヘ-#
by lambda924 | 2005-03-24 02:56
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