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サマソニレポ halo quintus

人は終極に満足を覚えない生き物だ。より高く、より遠く、より深く。その思いはしばしば実の破滅を招く。ギリシャ神話のイカロスがその好例。

“the fragile”制作当時、トレントは精神に変調をきたしていた。闇は病みに通ずる。暗部の深淵に身を置いた男の悲痛な叫び――それが“the fragile”という作品だといっても間違いではないはず。

精神的な危機から脱した現在の彼が、当時の曲を演奏する意味とは何か。ファンの一人として、ついそんな事を考えてしまう。演奏されたのはeven deeper

do you know how far this has gone?

彼は何度、絶望と狂気の間を行き来したのだろう。当時の状況を知るにつけ、今彼が生きていること自体奇跡に思えてくる。

suck が始まる。“Broken”の隠しトラックだが、ライブでは定番の曲だ。すでに10曲以上演奏されたが、バンドのボルテージは一向に下がる気配がない。もうこうなったら、とことん、どこまでもついていくしか!

続く gave up はアップテンポの曲。ギターをかき鳴らすアーロン&トレント。お前ら、最高だ!ジャギーな響きにノせられて体がうねる。凧糸が切れたかのような曲のラスト。ライブもいよいよ大詰め。遂に、あの曲が始まった。
# by lambda924 | 2005-08-29 04:20

サマソニレポ halo quartus

closerで全員アッチにトんだ後、witha teetha、いや with teeth が始まった。アルバムのタイトルにもなっているこの曲、ひたすら沈んでいくような気だるさが逆に心地いい。トレントはギターをタンバリンに持ち替えている。余談ですが、今年のサマソニではオアシスもタンバリンを使ったらしいですね。口にくわえている写真がクロスビートに載ってました。今更ギタリストはムリだけど、タンバリニストを目指してみるか(ボソッ

この曲は途中でピアノによるバラードが挿入されるんですが、CD音源ではそこだけ録音レベルが低く、きちんと聞けていませんでした。だから、曲の途中でトレントが鍵盤を弾き始めた時にはその耳慣れないメロディーに「ん? 新曲!?」と一瞬思ってしまった。ファン失格!

バラードからまた元の曲調に戻りました。当然、トレントは再びタンバリンを手にするわけで。見ているものがビビるほどの気合で叩き続けるMr. Trent 。終いにはなんとこの人、タンバリンを壊しちゃったよ・・・。すかさず客席に投げ入れます。筆者の左斜め後方10mぐらいのところで争奪戦開始w

生で「ウィッザ ティッサァッ!!」を堪能できて大満足。今度はキーボードに向かうトレント。奏でだしたそのメロディーはそう、the frail

1音1音に魂を込めて演奏しているのがこちらにも伝わってくる。バックに流れる重厚な音が精神を静かに高揚させる。ゆっくりと最後のフレーズを弾き終えると、間髪入れずthe wretched のスタート。

冒頭のメロディーは精神の深部を抉り取ったかのような凄みがある。

now you know, this is what it feels like

A A# B C C# D D# E F G F G

くりかえされるコード進行が曲の内部へと聴く者を引きずり込む。神々しいまでの愉悦。the frail → the wretched の流れは絶対に聞きたかった。前回の来日公演にいけなかった無念が晴れていく。ライブも終盤に差し掛かった。
# by lambda924 | 2005-08-29 03:40

サマソニレポ halo tertius

hey God
I think you owe me a great big apology.

キリスト教文化圏ではこの歌詞、相当過激に聞こえるんだろうな。憤怒の情があたりを支配する。始まったのはterrible lie。1stアルバムの代表曲。

タメの効いたリズムにシビれる。フロントの三人が噛み付くように“terrible lie!”と連呼する。それに応え、客からも“terrible lie!”の応酬。傍から見ると見るとさぞかし異様な光景だったはずw

次はburn。「ナチュラルボーンキラーズ」のサントラに収録。オリジナルアルバムには収録されていないため、曲が始まっても「?」の人多数。実は俺もサントラを持っていないため、あまり聞き込んでいない曲。オフィシャルサイトでクリップを見られるので、興味のある人はぜひ → コチラの下の方にあります。

NINのクリップは気が変になりそうなヤバイものが多い。burnのクリップも逆再生の映像などが駆使されており、トベル内容になってます。生演奏も実にカッコよかった。

burnに続いて流れてきたシンセのメロディー。おおっ、これはcloserじゃん!次々に演奏される代表曲に狂喜。

you get me closer to god

1997年に発売された二巻組みライブビデオのタイトルが“closure”であることから分かるとおり、この曲は“the downward spiral”期を代表する曲です。肉体は螺旋階段をひたすら下降するようでありながら、精神はひたすら上昇を続ける感覚。○○○をキメながらこの曲を聞いたりしたら、ほんとヤバそうw

実際のところ、彼は○○漬けの状態でこの曲を書いたわけだが(-_-;
# by lambda924 | 2005-08-29 02:59

サマソニレポ halo secundus

続いて始まったのはthe line begins to blur。新作“with teeth”収録の曲をこの日初披露。6年の歳月を経て心境に変化が生じ、作風が大きく変わったNIN。今作では過剰なまでの作り込みを排し、スピーカーから流れる音が一直線に脳へと伝わるような曲作りを目指したとか。CD音源はシンプルに聞こえる嫌いがあり、ファンの間では賛否が大きく分かれている。それらの曲をライブではどうプレイするのか。注目ポイントの一つだった。

the line begins to blurに関してはライブでも違和感なし。というかむしろ、生演奏によって曲の説得力がより増しているような気がした。此処は現世か、幽界か。ぼやける世界。

異界に誘われた後、耳に届いてきたのはsomething I can never have。1st収録の佳曲。

I just want something.
I just want something i can never have

人は欲する。渇望する。決して手に入れることができないものを。(僥倖に恵まれて我が物にした時、「芋粥」の気分を味わうのが人の世の哀しさですね)

しみじみとした感慨を包む夜空。16年経っても色褪せないメロディー。言葉にすると軽くなっちゃうけど、やっぱこの人天才だわ。しっとりとした雰囲気になったところで、ダンサブルなイントロが始まる。the hand that feeds!

待ってましたとばかりに、客全員がノリまくり、歌いまくり! 歌詞の内容は「権力に立ち向かえるのか」という極めて政治的なもの。ブッシュが再選されたオ時、公式サイトで「アメリカ人の一人として今日は恥ずべき日だ。」とのメッセージを公開していたトレント。忸怩たる思いがこの歌に直結したのだろう。一聴するとポップだが辛辣な意味が込められた歌詞。この曲が世界中のラジオでかかっている痛快さ。

とまあ、歌の背景に思いを致すのもファンの務めですが、ライブ中はそんなん関係なし! ひたすら踊る、跳びまくる! 噂どおり、ギターのアーロン・ノース(exイカルス・ライン)のプレイっぷりがヤバイ。トレントが新メンバーに即認定したのも納得。ベースのジョーディを見るのは4年ぶり。その時はMMのメンバーだったんだよなぁ。まさかNINに入るとは。つーか,a perfect circle の活動はどうなってんだ?

ドラムのジェロームのみ、前ツアーに引き続いての参加。ってことはライブDVDでドラムを叩いていたのも彼のはず・・・なんだけど、同一人物に見えん。前は化粧してからなぁ

キーボードはアレッサンドロ。前メンバーのチャーリーを惜しむ声多し。俺もsinで彼がテルミンを操る姿が見たかった。もうムリなんだろうな・・・orz

そしてトレント。フロントマンにしてNINの本体、黒幕。実はもう不惑を越したオッサン。でも放つオーラには衰えなし。磁場の中心として全てを容赦なく巻き込んでいく。ライブの序盤がようやく終わろうとしていた。
# by lambda924 | 2005-08-29 02:24

サマソニレポ halo primus

場内には先ほどからBGMが流れている。そこへ突如、不穏なサウンドが混じりだした。重い音圧が場内の空気を切り裂く。EPの“Broken”収録の‘pinion’だ。沸き起こる歓声。単純なビートが続く中、加速度的に期待感が高まっていく。そして、遂に闇の中からメンバーが姿を現した!

“Let's go!!”

心を震わせるトレントの絶叫! 遂にNINのライブが始まった。1曲目はwish。初っ端からメンバーの気合が普通じゃない。ファンの熱意も尋常ではない。最高の幕開け。

wish there was something real, wish there was something true
wish there was something real in this world full of you

サビでは大合唱。こんな日が本当に来るとは。感無量。だが、ライブはまだ始まったばかり。続いてドラムが変拍子のリズムを刻みだす。7/8拍子。march of the pigsだ!

やっぱこの曲の盛り上がりは凄かった。前方のブロックではモッシュだらけ。会場は一気にヒートアップ。

now doesn't that make you feel better?

曲調の変化が心地いい。緩急のついた構成は何度聞いても飽きない。曲が終わりに差し掛かるにつれ、音がどんどん激しさを増す。一回目の昇天。すでにライブのクライマックスを迎えたかのような狂熱。嗚呼、そうか。俺はこれをずっと待っていたんだ。
# by lambda924 | 2005-08-29 01:16